2014年2月27日木曜日

グロスグロックナー展望台からハイリゲンブルートへ

1998.8.10(月)☀ 
フランツヨーゼフス・ヘーエ展望台からの
グロースグロックナー(▲3797m)

今回の登山ベースは、オーストリア・アルプス最高峰グロースグロックナーを望む山中の素朴な村ハイリンゲンブルート。最寄りの鉄道駅リエンツからバスで約1時間30分の山間の村である。ハイリンゲンブルートとは聖なる血、聖血伝説が残る村としても有名である。
コース概略: ハイリゲンブルート(11:08)-----フランツヨーゼフス・ヘーエ(12:00 12:25)~サンダー湖(13:25)~ハイリンゲンブルート(17:05)

歩行時間:4時間30分

パステルツェ氷河
11:08発のバスは、結構混んでいるが座れない程ではなかった。途中の村から続々と人が乗ってきて車内は混み合ってきた。バスは曲がりくねった道を登っていき、いくつかの村を通過し氷河道路という道に出ると左手にグロスグロックナーが見えてきた。有料道路の入り口では、入る車の量の規制をしており、かなりの車が列をなしていた。バスはそれら
を横目で見ながら通り過ぎていく。さらに高度を上げフランツヨーゼフス・ヘーエ到着した。グロスグロックナーが目の前に聳える絶好のビューポイントだ。裏手の山の上にドーム上の展望台がある。
サンダー湖からの水の吐き出し口
 眼下に見えるパステルツェ氷河へ下る。
大抵の観光客は氷河の方へ向かうが、僕は反対の道を辿りサンダー湖へ向かう。サンダー湖は、雪解け水で濁っているのかセメント色をしていてあまり美しいとは言えない。湖畔の道を巻き、吊り橋を渡る。ここで水が一点に集中され外に吐き出されており、轟音ですごい迫力である。

サンダー湖の先の吊り橋を渡る




橋を渡りゆるやかな登りを上がっていくが、途中で道を見失ってしまった。幸いにも上から人が降りてきたので、そちらを目指して進むと登山道に出た。さらに登ると標識があり2つの道に分岐している。左の道を辿り長い下り坂を辿りダムに出た。この当りで食事をとろうとしたが、腹も減ってなく、かつ気持ちも急いていたので直ぐ腰を上げ歩き始めた。岩場では家族連れが食事をしている。



左の深い谷(メル谷)を見下ろしながら、ひたすら下っていく。あまり人に合わなく、少々不安な気持ちになる。川の流れが聞こえてきた。ここで少し休憩する。登り下りを繰り返して行くと左手にゲスニック滝が見えてきた。道を塞ぐようにゲートがあった。「さてどっちへ行きのか」思案した揚げ句、右手の道を進むが途中で道が途絶えてしまった。道を間違えたようである。元に戻り、先程のゲートの先を見ると道が続いている。ゲートを跨いで越え、下って行くと橋に出た。さらに道を進むと湧き水があり、ここで水を補給した。アスファルト道に出た後も結構長く、ホテルに着いたのは17:05であった。結局4時間30分かかった事になる。標識があまり整備されてなく、道はわかりずらい。又、人もあまり歩いてなく、1人で歩いていると不安にかられ、思わず先を急いでしまう。

ハイリンゲンブルートが見えてきた

2014年2月10日月曜日

ツィラタール谷奥の山上の湖シュバルツゼーへ

2001.8.14(火) ツィラタール谷を歩く
 シュバルツゼーに投影するツィラタール・アルプス
今回のトレッキングのベースは、マイアーホーフェン(Myrhofen)
イェンバッファ駅からツィラタール鉄道で約1時間の所にある ツィラタール谷の中心の街である。夏には日に何本か昔懐かしいSLが走る。街は開けた明るい谷の中にあり、ここをベースにしていくつものハイキングを楽しむ事ができる。 今回のコースは、ツィラタール・アルプスの山懐に入ったシュバルツ湖へのコースである。 駅前から少し歩いたヨーロッパ・ハウス内にあるインフォーメーションで、マップ、バスの時刻表を 得ることができる。

コース概略:
マイアーホフェン(7:55)----ブライトナー(8:30)~アルペンローゼヒュッテ(10:30 10:35)~ベルリーナヒュッテ(10:55 11:10)~シュヴァルツゼー(12:15 13:30)~アルペンローゼヒュッテ(14:35)~ブライトナー(16:30 16:55)----マイアーホフェン(17:30)

歩行時間:6時間45分




トレッキングの始点のブライトラーナ(1256m)には、駅前のバス停から出ているダム行きのバスに乗っていく。 谷の奥にあるいくつかの村と2つのトンネルを超え、30分程でブライトラーナのバス停に着く。バスの乗客の多くは、この先にあるダムまで行くのか下車したのは僕を含め3,4人だけであった。 
深い谷間で、朝が早いためか日が差してなくかなり寒い。近くにはガストホフがある。生垣を超え、 少し登った後、川に沿った平坦な道が続き快適なペースで歩が進む。徐々に日が差してきて 体も暖ったかくなってきた。クラウセンアルム小屋を通過し、左手の斜面を登っていくと グラヴェントゥヒュッテに到着。
 アルペンローゼヒュッテ
左手の斜面を登リ切ると牧場に出る。右手の大岸壁には雄大な 滝が見える。後ろを振り返ると、歩いてきた谷を一望できる。
ここから道は平坦になり、ツェムバッハ川に沿って歩いて行く。正面に氷河を頂いた山が見えてきた。 30分程で、左手に木造りのアルペンローゼヒュッテ(1873m)に到着した。
川には橋が架かり、右手にも道が続いている。ベルリーナヒュッテには左手のジグザグ道を登っていく。
写真で観て、大いに気に入った景色
ベルリーナヒュッテ
曲がりくねった登山道を息を切らせ登り約20分で石造りの見栄えの良いベルリーナヒュッテ (2042m)に到着した。この風景に心引かれこの地を訪れたが、期待に違わないすばらしい景色だ。
このヒュッテは、1879年にドイツとオーストリア山岳協会によって創設されたと云う。概観も立派な 建物である。
少し休憩した後、再び登りに入る。石が敷き詰めてある急な道を登りきると、平坦な道になる。 シュヴァルツェンシュタイン・アルムの草付きの山腹を巻きながら登っていく。 左手にはホルン氷河の雄大なU字谷が開けている。
登りは段々きつくなり完璧にバテてしまい、途中の草叢に大の字になって休息する。 そんなに距離はないと高を括っていたが思いの外、距離はある。 これ以上登れるかと不安がよぎったが、ふと上を見るとケルンが見えた。
シュバルゼーへの登り道にて
「ああ、あそこが頂上か」と元気になり、疲れた体に鞭打ち再び登り始める。 斜面から流れる沢を渡り、最後にジグザグな道をがんばって登り切ると、 待望のシュヴァルツ湖に到着した。
シュバルツゼーにて

湖は周囲を岩山に囲まれ静かに佇んでいる。
何組かの登山者がランチを食べながら憩いでいる。僕も近くの岩場に座りランチタイムだ。小さな女の子が岩場で遊んでいる、こんな小さな子も登ってくるんだと驚きである。
思った程大きな湖ではない。後方には、ツィラタール・アルプスの雄大な景色が展望でき、 この景色を見ながらゆっくりとした時間を過ごす。湖畔の残雪を踏みしめながら対岸に歩いていくと、 絵のような風景に出会う。
シュバルツゼーからの展望
主峰グローサー・メーゼラーとヴァクセック氷河
ツィラタール・アルプスの主峰グラーサーメーゼラーら3000m級の山々が眼前に広がり、 湖面には氷河を抱いた山々の姿が見事に写しだされている。息を飲む美しさだ。 残念ながら、湖は一周できず途中で道が途絶えている。
心往くまでこのすばらしい景色を堪能した後、下りに入る。

下りは、登ってきたルートを引き返す。ベルリーナヒュッテまでは、かなりの急な道で 足に負担が結構くる。グラヴェントゥヒュッテでコーラを頼み、しばしの休息を取り、 ブライトラーナには16:30に到着した。 バスは16:55発であり、まだ少し余裕がある。
バスを待つのは、僕と男性の登山者のみで、バスの時間を聞かれたのをきっかけに、少しお話をする。 彼は4日間山に入っていたと云う。地図を開げ、歩いてきたルートを教えてくれた。 日本人が、この地域にくるのは珍しいと云う。大抵の日本人は、モンブラン、スイス方面へ行くもの と見られているようだ。 バスは時間通り到着した。
今日はかなりバテたが、心地良い疲れである。機会があれば再訪したい谷である。

2014年2月5日水曜日

ラ・メイジュ南壁を望むシャテルレ小屋へ

1999.8. 11() エタンソン谷からシャテルレ小屋へ
エタンソン川に架かる橋とラ・メイジュ南壁


ベースとなる村はラ・ベラルド、グルノーブルからバスで約2時間強、深い谷間の奥の小さな村である。山以外何も所であるが、妙に居心地が良く、1999年,2002年,
2012年と都合3回訪問した大好きな村である。今回のコースは、エタンソン川に沿って谷を登り、名峰ラ・メイジュ南壁の眺めが最高なシャテルレ小屋までの最もポピュラーなコースである


コース概要:山腹を巻くコース
ラ・ベラルド(8:55)~分岐(10:00)~シャテルレ小屋(11:50 13:00)~ラ・ベラルド(15:00)

歩行時間:4時間50分(登り:2 時間50分、下り:2時間)

早朝、トレッキング前にパン、チーズ等を買う登山者





早朝、村の通りにはベーカリの屋台が出ており、カンパーニョ等のハードパンとチーズを売っている。パンを買おうかなとも思ったが、ちょっと大き過ぎ、食べきれないので諦めた。村に1軒ある店でフランスパン、水等を購入し、8:55にエタンソン谷へ向かって出発した。
教会の裏手の道を登り、ジグザグの急坂を登っていく。ふと左手を見ると、草むらにシャモアを発見。写真でしか見た事がなかったので、実物を見て少々興奮。カメラを向けようとした瞬間去って云った。急流にかかる橋を渡ると、ハイマツ帯の開けた気持ちの良い所に出て来た。
新田次郎は「アルプスの谷、アルプスの村」でエタンソン谷は、暗く陰鬱な谷と呼んでいた。確かに両側をもの凄い高い岸壁で挟まれており、そんな感じがしないでもなかった。エタンソン川に沿ったゆるやかな登りを快適に登って行くと、橋がある分岐点に出た。どっちへ行くのか迷ったが、前を行く人が橋を渡った左手の道を登っていったので、後を追いていくことにした。結局、これが間違いの基で、ここで地図を良くみて置けば良かったと後で悔いることになった。
山腹コースから観たラ・メイジュ
途中で道がなくなり大いに焦る。不安になり引き返すと道があったので安心し、その道を辿って行った。徐々に高度が上がり、曲がりくねった急坂になってきた。下を見ると、エタンソン川沿いに登山道が走っている。先程の橋を渡らず、道なりに行くのが正解であったようだ。地図を見ると、少し遠周りになるが、この道でも良さそうだし、ここまで登ってきて引き返すのも嫌だったので、そのまま登って行くことにした。
シャトルレ小屋からのラ・メイジュ南壁
息を切らしながら登っていくと、谷奥にラ・メイジュが見えてきた。非常にきれいな山である。行く手に滝があり、少々ビビったが何なく渡る事ができる。3つの滝を渡った先からは、一気にエタンソン川への下り坂である。下り切った所には、橋が架かり、正面にはラ・メイジュ南壁の全景が見えた。凄い迫力のある絶景に大いに感動。標識に従って登って行くと、ようやく目指すシャテルレ小屋が見えて来た。11:50、標高2215mの岩場に立つシャトルレ小屋へ到着、石造りの立派な山小屋である。小屋の周りは、鋭く荒涼とした岩先鋒が立ち並び、その中で一際目立つラ・メイジュに息を呑む。本当に素晴らしい所で、感動して言葉も出ない!!
小屋の前にテラスがあり、登山者が思い思いの食事を楽しんでいた。さすがローカルな所でもあり、日本人は1人もいない。小屋の裏手の草地で昼食をとるが、寒くなり暖かい物を飲みたくなった。小屋へ入り、スープを頼んだ。これは塩気もなく味もなく非常にまずかった。この先、プロモンテ小屋への登山道が続いているが、殆ど岩場の道である。
1時間程、周囲の景色を堪能した後、下る。
主峰バール・デ・エクラン(▲4120m)、ちょっと定かでない
登山道で見かけた高山植物