2013年9月4日水曜日

ヴァノワーズ小屋を巡る人気コースを歩く〜ヴァノワーズ山群

2012.7.3(火) ヴァノワーズ小屋
ラック・デ・ヴァシュと主峰グランド・カス
湖(湿地)の真ん中の石橋を渡る
トレッキングのスタート地点のプラロニャンは、氷河で深く刻まれたU字状に谷に拡がる村で、夏はハイキング、冬はスキーで賑わっているが、シャモニ程知られていないので手付かずの自然が残っている。

コースマップ





このコースを歩くのは、今回で2回目(前回は2000.8以来の再訪)、山上の湖(湿地かな)に架かる石橋と後方に聳えるグランド・カスの雄大な景色は息を飲む程の絶景、こんな景色は日本では味わえない。

コース概要:
モン・ボショール(8:40)~バルメット小屋(9:20)~石橋(10:10 10:40)~ヴァノワーズ小屋(11:35 13:35)~プラロニョン(15:40)
  所用時間:4時間30分(登り:2時間30分、下り:2時間)


眼下のプラロニャン村が小さくなっていく
テレキャビン乗り場は、メイン・ストリートのほぼ中心にある。ここから、標高2023mのモン・ボショールまで一気に高度を上げていく。周囲の山々の景色を見ながら約10分程で到着する。頂上の駅を出て左手の道を歩いていくと、広々とした所に出る。道は3つに分かれていた。真直ぐの道からも行くことが出来るが、ここは右手の道を辿っていく。
山々に朝の陽光と雲がかかる
一旦下った後は殆ど平坦な道を歩いていく。正面にグランド・カスの優雅な姿が、右下にはプラロニャンのU字谷を見ながらの非常に快適な歩きが続く。
周囲の山々も、朝の光が辺り輝き出した、やはり早朝の景色は素晴らしい!!

石造りのバルメット小屋は絵になる



40分程歩くとバルメット小屋が見えてきた。雪解け水で水嵩を増した沢の音が心地よく響いて来る。
小屋の後方には、目指すヴァノワーズ針峰が聳えている。ここから登りは少々きつくなってくるが、登山道は良く整備され道に迷う事はない
橋を渡り両側に石積みされた道、沢沿いの登山道を登って行く。雲が巻上ってきて、太陽があっという間に隠れ、周囲は深い霧に囲まれ何も見えなくなってしまった。後ろに若いアベックが付いてきており、1人でないのが心強い。又、足下に咲く高山植物や残雪が心を癒してくれる。
 霧が晴れて来た Lac Vachesにて



Lac Vachesに架かる石橋


水音が大きなってきたと思っていると、ラック・デ・ヴァッシュ(Lac Vaches)に到着。視界不良で何も見えず、湖の真ん中にある石橋の先は、ガスで全く見えない。岩場に腰掛けて、しばらく待っているとガスが切れ始め、グランド・カス(▲3852m)の勇姿が見えてきた。白い氷河(天蓋氷河と云われる)を抱くグランド・カスの素晴らしい絶景に、しばし言葉を忘れる。



岩場に休んでいた人々も、一斉に感嘆の声を上げる、僕も大きな声をあげたい所だが、さすがに気が引ける。グランド・カス方面は東側でもあり、少々逆光気味だ。





Lac Vachesとは「牛の湖」と云う意味、前回来たときは牛が群れていたが、時期が早いのか牛は放牧されていなかった。
対岸の岩場を登って振り返ってみたLac Vaches



ガスが切れ、気分が良くなった所で石橋を渡り、対岸に向かって歩き始める。雪解け水で水量が増したせいか、所々石橋が水で覆われている箇所があった。



再び、ガスが上がってきたが、あっという間になくなり、気持ち良い青空が広がってきた。




湖を渡り、右手に聳えるヴァノワーズ針峰を巻きながら歩を進めていく。この辺りはモレーン(氷河によって形成された堆積)地帯で、氷河で削り取れた岩石や岩屑、土砂が多い。7月では、もう雪も全て溶けたと思っていたのに、登山道には雪渓は多く残っており、4、5カ所の雪渓をトラバースした。特に怖い所はなかったが、滑らないよう慎重に歩く。ふと上を見ると、雪渓の上をマーモットが走り回っていた。丸々と太った姿は可愛い。

眼下に青く澄んだロン湖が見えてくる。湖を取り囲むように、グランド・カスと3000m級の山々が取り囲んだ姿形は正に絶景である。

雪渓をトラバース
ロン湖とグランド・カス
ヴァノワーズ小屋
目出すヴァノワーズ小屋までは後一頑張りである。左下にロン湖を見ながら、ゆるやかな道を歩いていく。 そろそろ見えても良さそうと思うがなかなか現れない。小高い丘を越えると、右手にちょっと下った所に小屋が見えてきた。 

ミックスサラダ(7.5€)
小屋の前のベンチに座り、サラダを注文し昼食。スタート地点に出会ったシニアGがやってきた。顔見知りになってしまい、フランス語で話しかけてくるが、何を言っているかさっぱりわからず、笑ってごまかす。彼らはランチパック、ワインで乾杯しながら楽しげだ。ここのサラダが実に旨かった。バルサミコ酢ソースか、少々酸っぱいが疲れた体には丁度良い。

この辺りはマーモットの生息地、あちらこちらで、その愛くるしい姿を見せてくれ楽しい。カメラを向けると、どうぞ撮ってくれと言わんばかりに、顔を向けるのも居る。人に慣れているようで、近くに寄っても逃げない。

時間が未だたっぷりあったので、南側に続く登山道の先へ行ってみる事にした。この登山道は、トゥール・ドゥ・ラ・ヴァノワーズ(ヴァノワーズ一周)で、ヴァノワーズの周回コースになっている。前方から登山者が結構やってくる。なだらかな道は先までずっと続いているが、途中の十字架が立つ場所で引き返した。
トゥール・ドゥ・ラ・ヴァノワーズの道
急な傾斜の道を下る
名残り惜しいが、沢伝いのルートを通って下る。後ろを振り返ると、小屋を前景にしたグランド・カスの絶景に目を瞠る。1520分程下ると、台地状の広々とした所に出る。昔湖であったが、枯れてしまったような感じだ。この辺りはお花畑で、青、黄色の鮮やかな高山植物が咲き誇り、目を楽しませてくれる。だらだらとした下りが延々と続くが、途中沢を渡ったりと変化も ある。下からも結構登山者が登ってくる。日が長い事もあり、こちらの人々は午後からでも平気で行動する。日本では日が早いので、朝早くから行動し、午後は早めに行動を終了するパターンが多いのだが。50分程で、バルメット小屋へ行く岐路に出る。プラロニャン村近くに、雄大な滝に出会う。右手の巻く道を下り滝壺へ降りる道を行くと橋がある。橋を渡り先を進んで行くとプラロニャン村だ。
登山道に咲く高山植物